ダイミョウサギ1 ダイミョウサギ Gerres japonicus
                   スズキ目クロサギ科
 全長:25cm
 採集・購入時の全長:2.7cm、3.7cm、4cm
 飼育数:3
 餌やり:やや難しい
 性格:一応大人しい(同族にはやや攻撃的)

 画像個体の全長:2.7cm

芸は身を助ける?

 大きいクロサギを捕っていると、なんだか背の高いものがいたが、この時は何も考えずに持ち帰った。そうして水槽で見ると明らかに違う種類だった。形からダイミョウサギらしい。似ている種類はセダカダイミョウサギで、目の間に凹みがあるのがダイミョウサギだが、こちらの方が楽に見られるようなので合っているだろう。元からユニークな性質を持つうえに(このページの一番下の段落)、身近に複数種のクロサギがいて、ますますこのグループにのめり込んだ。私の好きな魚では数少ない、餌やりが難しくても飼育しているグループである。一応人工飼料は食べるようになるから有情である。

 クロサギ類は何かとボラ類に似ている魚だが(クロサギの項参照)、区別はさらに難しい。実はそれほど苦労せず数種類見つけられるが区別されない種族だろう。クロサギ以外の飼育情報は、生かして持ち帰るのが難しいという以外は皆無である(水族館にいることはある)。そしてこのダイミョウサギは、2日でクロサギ2匹を攻撃するようになったが、餌は全く食べなかった。砂を吸い込むところも見られなかった。同種が2匹以上いないと正常に活動しないのだと思った。次に採集地点に行った時には、クロサギ類は減っておりダイミョウサギ等を見つけることもなかった。実験に2匹以上持って帰りたいところである。それに大きいクロサギ類を狙って、何種類かいないか試したい。ただし、小さいときの区別はボラのように、あるいはそれ以上に難しい。

 その後、飼育環境が整って同じ場所で採集することができた。上から見るとクロサギより複雑な模様をしている気がする。始めは餌が落ちると砂ごとついばもうとする。2日で2匹持ち帰れ、2.7cmの個体は6日後、3.7cmの個体は約20日後にしっかり粒餌を食べ始め、それからは素早く食べている。同時に同族への攻撃性が出始めており、ダイミョウサギ同士で小さい個体がやられっぱなしではなく、逆襲や真っ向勝負をすることもある。クロサギの中では攻撃性があり、同族以外の魚も追い払うことがあるが、体当たりのみで問題ない範囲。だが、飼育約5ヶ月でなぜか大人しく穏やかになっている。気が荒いのは小さい時に限るのかもしれない。

 クロサギは以前から図鑑で見たことがあった。図鑑の写真は死魚が基本のうえ、クロサギやダイミョウサギは幼魚には模様があるが成魚ではそれがないようだ。そのため「激地味」な魚と思っていた。ところが干潟で出会うと、ヒイラギ同様の下に伸びる口以外にも様々な面白い特徴を持つことがわかった。まず、幼魚は体が薄いうえに銀色の体が砂泥の色を反射し、茶色の迷彩模様もあるため砂泥地では姿が見えにくい。動いてもどこに行ったか分かりにくいし、動かないとなかなか見つからない、消える魚である。動きは速く猛烈に逃げるので夜に捕まえるのが手っ取り早い。次に、滑るように泳ぐが止まる時はピタッと止まる奇妙な動きである。止まる魚は海水魚なら他にスズメダイや熱帯のタマガシラの仲間もそうだが、あれは伸びる口は持っていない。そして危なくなると砂に横に潜ることができる。干潟ではこの時も消えるように潜り、正確な位置を当てるのが難しいが、開けた場所ではかえって捕りやすくなる。

 下の方の鰭が黄色いことがあるが、地味な部類のクロサギ類。「地味でも面白い魚」の好例だろう。こんな芸を持っていて非常に楽しい魚だから飼育してみてほしい。餌やりが難しめだが、小さめの丈夫で大人しい魚である(傷には弱い)。だがこの芸のために、私のような色彩を重視しない人間には進んで捕まえられるなら、芸は逆に命取りになっているかもしれない。


成長速度(通常1ヶ月ごとに計測、大きさ単位はcm)

ダイミョウサギ1  3.7 →2ヶ月で4.5 →2ヶ月で5

ダイミョウサギ2  2.7 →2ヶ月で4 →2ヶ月で5

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