タカノケフサイソガニ Hemigrapsus takanoi  十脚目モクズガニ科
 甲幅:2.5cm
 採集・購入時の甲幅:1.5cm以下
 飼育数:3以上
 餌やり:楽
 性格:凶暴

 

汽水域に多いカニ

 ケフサイソガニから比較的最近分離された種。劣悪な環境だとこのケフサイソガニ系、ユビナガホンヤドカリ、ユビナガスジエビぐらいしか生物がいない。そういうわけで年中安定して見られるが、特にタカノケフサイソガニだと前の房が大きく、小さいモクズガニのようである。図鑑ではヒライソガニと並んで甲幅3cmとされていることが多いが、実際には2cmの個体でも多くない。オス、メスとも飼育してオスは2cmになったが、そこまででも長い時間がかかっていて2.5cmが最大サイズだと思う。

 こうした典型的なカニは「横にしか歩けない」と思われており、コブシガニやアサヒガニ等は前に歩くと殊更に言われるが、少々観察していれば前にもよく歩くことがわかる。横に歩くのが一番速いだけである。また、ガザミのように速くないがケフサイソガニ系も砂泥に潜る。野外ではよく水から出ているが、あくまでも水生種であり水槽に陸は必要ない。代わりにエアレーションが必要である。最初はメスを飼っていて、オスを入れるとすぐに交尾を見られた。メスは抱卵したが、なくなるのを見ずに消えてしまった。その後カキ殻に混じった小さいペアを飼育していると、甲幅1cm足らずの驚くほどの小ささで繁殖した。これは強健な種である。

 小さいうちは狭い隙間に潜れる優れた掃除屋であるが、大きくなると他の生物への脅威が増す。通常の魚は大丈夫という情報もあるが魚も食べるようである。また、かなり力が強くカキ殻を動かすどころか、投げ込みフィルターでも動かしてしまう。底生魚やヤドカリ、他のカニから餌を強奪するほか、手頃なサイズの近縁種がいるとハサミを食べてしまうようである。掃除効果は強力だがこのように害が大きすぎる。ただ、ヒライソガニより鮮やかでないが色彩変異が豊富なため、隔離ケースを使うなどして飼育し大きくすると楽しいだろう。

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