ネズミゴチ Repomucenus curvicornis  スズキ目ネズッポ科
 全長:20cm(オスの方が大きい)
 採集・購入時の全長:4cm
 飼育数:1
 餌やり:少し楽
 性格:大人しい(同族にはやや攻撃的?)

 

背鰭の黒斑が印象的

 ネズッポの仲間は、ニシキテグリなど小型の熱帯種が多く売っている。口が尖っていて、胸鰭を回してヘリコプターのように動くのが面白い魚である。小型のネズッポは餌やりが難しく人工餌をほとんど食べないが、近海の大型ネズッポは(といっても20cm以下が多い)経験上容易に人工餌を食べる。砂に溶け込む色をしていて、釣った画像ではひたすら地味な写りになっていることがほとんどである。そして鰓蓋にトゲがあり、触ると危険。だが各鰭を広げると大きく扇子のようで、種ごとに模様が違う。鰭の模様と形状、体側面の模様を見れば区別できる。よくメゴチと呼ばれるが、カサゴ目のコチとは全然違う魚で、形がやや似ているが大口ではないし動きも違う。コチは全体的に大型で、小さくないと人工餌をなかなか食べないようである。ちなみにコチの鰓蓋もけっこう鋭利。

 ネズミゴチはネズッポの仲間で特に多い種。第一背鰭の白く縁取られた黒斑が特徴である。ただし、オス成魚ではこれが消える。本種は岩混じりの砂地で泳いでいたのを捕まえた。大きなモクズガニがいたので、それから逃げていたのだろう。初めて見て、欲しかった魚だったので、ザルですくって一度水から上げてしまったが無事だった。大きさは4cmと、小ハゼサイズだった。1日隔離箱に入れた後、本水槽に放ったが、カレイ(7~8cm)が狙って尾から食べようとした。幸い鰓蓋にトゲがあるためか、この時は1回であきらめた。だが、別の個体なのかまた食べに行っており、ネズミゴチも落ち着けないので、再び隔離した。今度は餌付け用にヒメハゼ1匹と一緒にしたが、これがきっかけでヒメハゼの攻撃性がわかりその日に解放した。ネズッポの仲間が胸びれで変な泳ぎ方をするのは知っていたが、危険になると尾をふって泳ぐようだ。

 水槽に入れて3日後、活ゴカイを目の前に落とし、離れて見ると、食べた。動きは遅い。翌日は餌をやらなかったが、体色が黒っぽかったのが淡くなっており、馴れたのかなと思った。その次の日、すなわち入れて5日後にフレーク餌を落とすと、食べたが吐いた。そこで粒状の金魚の餌を柔らかくなってから落とすと、これは吐かずに食べた。その後、フレーク餌も食べるようになった。人工餌に慣れてからも、餌を食べるときは餌が着底してワンテンポ置いてから食べ、動きは遅かった。飼育している人はそれなりにいるネズミゴチだが、痩せて死ぬことが多いらしい。確実に餌をやることが必要なようだ。餌付けが難しいとも言われているが、これは全長10cm以上の釣りサイズのためで、小さいものを捕まえられれば餌の心配もいらないだろう。幼魚でも最初から人口餌は食べないかもしれないので、冷凍餌を試すといいだろうか。また、寿命が2~3年という情報があり、全長20cm程度(メスだと17cmらしい)になったら死ぬことを想定する時だろうか。

 隔離ケースはフタをしていたが、2回脱走し、2回目が発覚したときは姿を見ることはなかった。原因はカレイに食べられたのだろう。そのため飼育期間は15日程度と短かった。網で捕まえられることは少ないか条件にコツがあるようで、その後に採集することもできなかったが、同じネズッポ類のトビヌメリを捕まえられた。ネズミゴチとトビヌメリは婚姻色で(?)顔に黄色い模様が出るので十分鑑賞できるだろう。おとなしいが同族にはやや攻撃的らしいので1匹か2匹を飼育するのがよさそうである。

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