トウゴロウイワシ類 Hypoatherina sp.
                       トウゴロウイワシ目トウゴロウイワシ科
 全長:12cm
 採集・購入時の全長:3.5cm、4.5~5cm、7cm
 飼育数:5
 餌やり:少し楽
 性格:大人しい

 

イワシ型だが飼育しやすい

 トウゴロウイワシ類は、真正のイワシではなくボラに近い魚である。その証拠に胸鰭の位置が高く、背鰭が二つある。イワシやニシンの鱗は剥がれやすく弱りやすいが、トウゴロウイワシの鱗は堅くはがれにくい。同定が難しく、トウゴロウイワシとギンイソイワシはなんとなく違うようだが確信はないので、項目名はトウゴロウイワシ類にとどめた。2種を楽に区別するには肛門の位置を見る。これは生かして見るのは難しい。

 最初に見たのは夜の河口の3.5cmの幼魚で、水面近くを泳ぎ、暗闇に光る青緑色は衝撃的だった(小さい並ボラも背中が同じような色になるが)。その日、その後2cm前後の小さいものが何匹も現れたが、持ち帰ったのは一番大きかった最初のもののみだった。この年の3月、ボラの子をトウゴロウイワシと間違ったが(他にもそういう人はある程度いる)、今度こそ初めてトウゴロウイワシを見られた。日中はイワシのように群れるが夜はばらけるらしい(これは3cm以下のボラもそうである)。

 なんとなく光に寄ってきたり避けたりするので、各々来てほしい方向に光を向けて、軽く沈めた網の上に誘って「ゆっくり」すくい上げれば捕まえられる。速く上げると逃げてしまい、一度逃した個体はたいてい光から逃げるようになる。小さいジャンプを連続ですることも多い。漁港では未成魚~成魚サイズが見られ、なるべく小さいものを選んだら7cmだった。捕まえて網をあまり上げないとはねて逃げてしまい、小さいものは1匹しか捕まえられなかった。その後、また河口に行ったら小さめのものが少し見られた。キープ容器に入れた後に逃げやすいので、逃げても捕まえやすい場所に置いてふたもすること。河口で捕まえたものは寄生虫のウオノエ類(おそらくイワシノコバン)がいることが多く、痩せ気味だった。除去は特に魚が小さい場合にリスクが大きいので、そういう場所では持って帰らない方がいいだろう。

 トウゴロウイワシは飼育情報がほとんどない。無事持ち帰るのが難しいが、それができれば楽に飼えるという情報が1件ある。だが三度、5匹持ち帰ってすぐ死んだことはなかった。3.5cmのものを、何も対策なしにタッパーに入れて持って帰ったのが一度。次に7cmのものをジップロックに酸素を出す石3個を入れて持ち帰った。最後は4.5~5cmのもの3匹をジップロック1つに酸素石2個を入れて持ち帰った。移動距離は1回目、3回目は約15分、2回目は約20分である。2回目は漁港で、別の容器に移すときどうしても水から上げるしかなかったが無事だった。夜に捕まえているのがポイントなのかもしれない。7cmのものは、大きいうえに他に同格の個体がいなかったため、最初は水槽の角に行き続けて口先が赤くなってしまったが、2日で治癒した。

 餌は、3.5cm、4.5~5cmで水槽に入れて2日で人工飼料、7cmでは3日で冷凍餌を食べ始めた。大きいと最初から人工飼料は食べにくいが、小さいより痩せにくいのが利点。大きい粒餌は食べても吐いた。慣れると餌はいくらでも食べるようである。このときいた他の魚はクロサギであるが、ふだんは互いに干渉はなく、寄り添うことが多かった。クロサギが餌を取られたときは、両者少し固まった後にクロサギ、トウゴロウイワシの順に頭を軽くぶつけるというのが見られた。2016年は5~7cmの個体を探したが、本種のシーズンの天気が悪く出会えなかった。4cmに緩めることも考えてぜひ飼育したい。大型水槽を持っている人は本種を群泳させることも考えてほしい。同じ目のナミノハナも同様である。

 ということで、トウゴロウイワシは大人でも小さい、人工飼料を食べやすい、おとなしいというのが揃った飼育に優れた魚である。酸欠に弱いらしく、実際釣りではすぐに死んでいるようだが、トウゴロウイワシ類は鱗が堅いため、むしろ小さい並ボラの方が弱い気がする。イワシよりは明らかに持ち帰りやすいだろう。酸素石やエアポンプがなくても、夜に近所で捕まえて、ビニール袋やジップロックに入れればふつうに飼育できそうである。大きいものは袋に個別に入れるのが安全だろう。現地で見る輝く背中の青緑色を見るのは難しいが、ふだんも背中の独特の色や横にある黄色~緑色のラインがきれいである。トウゴロウイワシ目には淡水の熱帯魚のレインボーフィッシュがいて、その関係だろうか。観賞魚として売っていることはほとんどなく、2017年初頭に約10cmのヤクシマイワシが売っていた。

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