ヨコシマタマガシラ1 ヨコシマタマガシラ Scolopsis lineata
                 スズキ目イトヨリダイ科
 全長:25cm
 採集・購入時の全長:4.5cm
 飼育数:1
 餌やり:やや難しい
 性格:大人しい

 画像個体の全長:4.5cm

小さいイサキに似ている

 タマガシラという種名の魚は、深場に生息する(私は深いが深海でない水域をこう呼んでいる)。他の多くのタマガシラは熱帯の浅場のサンゴ礁域に生息している。この中で一番手近で販売も多いのは、フタスジタマガシラだろう。ヨコシマタマガシラは幼魚はフタスジタマガシラに似ていて、違いが不明確である。本種の方が鮮やかさが落ちる気がする。

 タマガシラの仲間は飼育が楽でおとなしいと聞いており、以前から飼ってみたかった。購入個体も「好き嫌いなくなんでも食べる」と説明されていたのだが、いざ水槽に入れると人工餌は食べなかった。むきエビしか食べず、好き嫌いなしとは程遠かった。改めて飼育情報を探すと、意外と少なかった。あるいはフタスジタマガシラは楽だが、ヨコシマタマガシラは楽でないのかもしれない。その後買った別の餌は食べたのだが、3cm以下のオニボラが普通に食べられるものをなんとか食べていた(のちに楽に食べている)。その後も以前に食べなかった人口餌は食べない。また、速く動けるが餌取りは下手。小魚を食べるというが、口が小さいのでほとんど心配ない。むしろ最低でも4cmから飼育を始めたいほど。そんな苦労はあったが魅力的な種である。ピンセットのような、小鳥のような短い口で餌を食べる様子が癖になる。動きもクロサギのようなピタッと止まる泳ぎをするが、クロサギより小刻みに動く。

 成魚について、フタスジタマガシラが顔から背中にかけて複雑な模様が入り、各鰭が黄色や黒い部分をもつのに対し、本種は背中側に黒の縦筋が入ってその上に淡色横帯が入り、独特の模様を呈しているが控えめな色彩である。はっきり「フタスジじゃなくてヨコシマだったら嫌だ」なんて言っている感想も見た(幼魚が似ているため)。だがこの模様には見覚えがあった。イサキの若魚の縦縞だ。イサキは釣りでは普通に捕まっているが手網で捕ったという情報がなく、10cm未満の個体はなぜか滅多にいない(同様の魚は他にもいる)。餌は簡単そうだが40cmになるし、多分気は荒い。ヨコシマタマガシラを飼えば、大人しくて小さいままのイサキを飼っている気分になれるのではないだろうか。タマガシラの仲間自体、かなり綺麗か控えめ綺麗な種類が多い上に「小さめ」「餌が楽な方」「大人しい」「丈夫」という飼育向きの要素が揃っているのに、なんで不人気なのかよくわからない。

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