フウライボラ1 フウライボラ Crenimugil crenilabis ボラ目ボラ科
 全長:50cm
 採集・購入時の全長:2.5cm、3.3cm
 飼育数:2
 餌やり:楽
 性格:一応大人しい

 画像個体の全長:3cm

奇妙で優雅

 胸鰭根本に黒点があるボラの一種。そういう種を私は「黒ポチがある種類」と呼んでいる。真ボラの青「斑」より小さい「点」である。サイズが小さいとわかりづらいが、上唇が大きくくちばしのようになっており、奇妙な顔である。横から撮影するとアヒル口のように写る場合がある。黒ポチの方も大きさや環境によってわからない場合があるから注意。また上の画像の頃はわからなかったが、他のボラとは色が違う。環境によるが、うちの茶色い砂のもとでは側面が銀色より灰色に近く、光沢が弱い。そして他種より背中と側面の色の差が少ない。

 フウライボラは真ボラより小さいものの、ボラの中で大型種といっていいだろう。検索すると大人の顔のアップが見られる。飼育に向いているサイズではわからないが、唇にはイボイボがあり気持ち悪いかもしれない。こんな特徴を持つ魚はあまりいないだろう。また、大型個体では口先が切れたようになっている。それでいて真ボラより鰭が大きく、熱帯の海中での姿は優雅である。このミスマッチがユニークな種だから富豪の人は大きく育ててみよう(人任せ)。奇怪な顔が嫌だったらタイワンメナダも成魚の鰭が長い。水族館にも群泳させてほしいのだが、ボラの仲間を見ること自体少ない。10cm以下でも尾びれが大きいのがわかるから、そこまで大きくできない人も飼育してほしい。ただし、砂撹拌はするが油膜取りをするのを見たことがない。水族館では水槽内オブジェクトのコケ取りをしており、油膜取りをするという情報が1件あるので、同時に多く集めたい。のちに飼育2匹目はコケ取りをするのが見られた。砂撹拌は、綺麗に一撃で吸い込んで吐くのが1セットである。最初の1匹は長い間砂撹拌をすることもなく、他のボラを利用して「盗み食い」ばかりであった。やがて砂を吸い込むようになったが、落ちた餌を食べる時は底すれすれを泳いで巻き上がった餌を食べる。

 本種は日本本土ではほとんど幼魚しか見られず、熱帯性の死滅回遊魚と考えられる。また、ワニグチボラ共々汽水では生きられないようである。ボラの中ではか弱いといえるだろうか。ワニグチボラとは変顔と餌取りが上手い点も共通する。フウライボラ属は日本にもう1種、西表島にナガレフウライボラがいる。淡水性(汽水域にも現れる)だから水温さえ高く保てれば池飼いできそうであるが、絶滅危惧種だからその余裕はあるだろうか。ところで、飼育した2匹目は他のボラの肛門辺りを突くことがあり、何かと思ったがフンを食べていた。餌取りは速いしなんという貪欲さ。これがほんとのスキャットファーガス・・・。


成長速度(通常1ヶ月ごとに計測、大きさ単位はcm)

フウライボラ1  2.5 →4 →4.5 →4.5 →5.8 →6.5 →8 →9 →10

フウライボラ2  3.3 →3.8 →4.5

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