イシガレイ Kareius bicoloratus カレイ目カレイ科
 全長:40cm
 採集・購入時の全長:2~10cm
 飼育数:15程度
 餌やり:少し楽
 性格:一応大人しい

 画像個体の全長:4.5cm

カレイ科で最も飼育向き

 幼魚が春の汽水域で多く見られるため、マガレイより身近で最も身近なカレイの一つ。似ているマコガレイとともに飼育に挑戦している人も多い。独特の姿から、カレイの飼育などできるだろうかと思っていた。しかしイシガレイはなかなか貪欲で、7cmで4cmのエビジャコを激しく攻撃し、食べてしまった。当時エビジャコも多く捕れ、補助餌も兼ねて持って帰ったが、大きいものまですぐ食べてしまった。魚を少し知っている人ならヒラメは魚を、カレイはエビやゴカイを食べると思っているだろう。しかし実際は魚を食べるのを見たうえ、調べたら魚も食べることが書いてあった。というのも、2.5cmのボラを入れたら泳いで食べようとした。大きさで結局食べることはできず、このときすでに瀕死だったボラが早死にして終わった。その後、隔離ケースでボラがすぐ死なないのを確認してから出したら、面倒なのか慣れたのか食べようとしなかった。

 人工飼料もあっけなく食べだしたが、これにもエビジャコが役立った。エビジャコがカレイの前でフレーク餌に飛びつくと、カレイが食べるようになったのである。その後金魚の餌も食べるようになり、そのうちザリガニの餌をメインにした。どれも水面まで来て食べ、1つの餌にみな集まってくる。落ちている餌もたいてい食べる。ただし餌を食べたのはいろいろな大きさがいるうちの最大に近いものだけで、5~10cmが飼育に向いていると思う。いくらでも餌を食べるため、胃が膨れすぎるのが心配で大きくなったら餌を1日おきにしたが、これが間違いだった。成長が早いため毎日控えめにやった方が安全のようである。汚れや高水温には強いが(27℃でもふつうに活動、30℃でも即死ではないようだ)、痩せやすかった。

 1匹で、おもしろい行動が見られた。多数の中の最大サイズ(7cm)でなく、6cmだったがすぐ人工飼料を食べた。それが、水面近くの壁に張り付いて、近くの壁際に金魚の餌がきたらチュバチュバ食べるのである。この個体は水面近くの壁にいることが多かった。他のカレイもそれを見ているのか、水面近くで長時間浮きながら餌を食べるようになったが、成功率は悪かった。やはり負担がかかるのか、沈下性の餌をメインにして金魚のエサを食べなくなったら見られなくなった。秋にも一度、何の間違いか10cmのものがいて、餌付くか心配だったが持っていった。結果2日でむきエビを食べたが、落ち着きがなかった。大型ヤドカリがいたら両立できないようである。

 北方系のカレイ科の中では南におり、成長が早い。生後1年で20cmになり、魚売り場に売っているより少し小さいがかさばるようになる。確かに6~7cmから2ヶ月で10~11cmになり、60cm水槽だと簡単に狭くなってしまう。飼育情報が多いわりに大きいものを見ないのはそのせいだろう。しかし水族館のカレイはほとんど動かない場合があるが(大きさのせいかもしれない)、イシガレイは中層魚のように動いて、浮くことも多い。奇妙な動きも面白く、90cm以上の水槽を用意して5~9cmのものを持って帰りたいところである。

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